京姫は初めて飲むお酒だ。ラベルには書いてないが、油長さんの買い物サイトには日本酒度が「+0」とある。これは数値的には、甘くもなく辛くもなくちょうど中口というところだが、辛口に慣れていれば相対的に甘く感じるのではないかと思われて、試すのを後回してしてきた銘柄だった。
つまり、いよいよ伏見のお酒全蔵めぐりも終盤になってきたという次第。実際、これで重複を除いて19蔵目。伏見酒造組合のサイトの蔵元紹介ページには22蔵あるが、ここではそれ以外に2蔵書いているので、残りはあと5蔵になる。
さてこのお酒、スカイブルーというのか明るいブルーの、かわいらしいボトルだ。「瓶」というより「ボトル」が似合う。だからか人気もあるらしい。見た目にも透明感があって美しい。
紐をほどき「直詰厳封之証」という封印をやぶると、よくあるアルミキャップではなくて、プラスチックの詰め栓だった。抜くと「シュッ」とガスが抜けた。一瞬、活性酒かとも思ったが、そうでもないようだ。淡い吟醸香が漂う。
コップに注ぐと、淡く黄みがかっている。さぞ甘いだろう、と思って舌先に乗せると、ん? そうでもない。今度は少し多めに口に含む。うん、けっして甘くない。ゴクンと喉に落とす。うん、いい感じ。
これも数値から感じる先入観故だろうか。もっと甘ったるいのかと思っていたらそうではなくて、おだやかな、好感のもてる甘みだと思う。和菓子を食べて思わず「甘さ控えめでちょうどいい」と言ってしまうような感覚だ。そして喉ごしにはむしろ、辛さを感じたりもする。
こうなってくると、いろいろな数値はあまり気にしない方がいいではないかと思う。つまり、自分の舌で自分の好みのお酒を探ればいいのだと思うわけ。
もっともこのところ、その自分の舌にも自信がなくなってきている。というのは先日飲んだ井筒屋伊兵衛が旨かったので、たまたま訪れた知人などに「美味しいお酒が手に入ったから」などと勧めてみたが、「うまいけど、劇的というほどでもないなあ」とか「あっさりしてるね。たぶん美味しいとは思うんだけど……」てな調子で、思ったほどは絶賛されなかったのだ。
まあもともと、料理の善し悪しがわかるほどの舌でないのは自覚している。けど、酒の味だけはちょっとわかると思っていた。それだけに、なんとなく感覚のズレを感じずにはいられない。ちょっとショックだった。
(記/2005.10.18)
2006/7/20追記
瓶についてはこちらの追記も参照してください。
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