[ひとりごと(1998.5.11)]

文字入力とインターネット

 インターネットは文字入力の仕事にも大いに役立つものだ、と先日改めて実感した。文字入力は原稿の通りに打ち込めばよいので単純な作業だと思われそうだが、実はなかなかそうは問屋が卸さないのだ。
 ワープロで打った原稿、これはまあそのまま打てばよいからまだいい。ただし、ワープロ原稿を見ながら文字入力をするのは、どうもむなしくて疲れるものだ。A4用紙に1枚ビッシリあれば、およそ1600字程度になるから、打っても打ってもなかなか原稿が減っていかないのだ。しかし今回これは脇に置くとして、問題は生原稿だ。

 生原稿はだいたい400字詰めの原稿用紙だから、ワープロ原稿に比べると作業上のストレスは少ない。どんどん原稿用紙が減っていく。ところがやっかいなのが、行書、悪筆、かすれた文字……。読めなければ「■」などで代用して校正で直してもらうのが普通だが、たとえ読みにくくても、知識があれば理解できるということが少なくない。それは書に関する知識であったり、内容に関する知識であったりするが、このあたりで入力者の力量が問われてくる。

 先日入ってきた原稿は、最近の演劇界の批評の座談会だった。最初は快調に入力していたが、話が歌舞伎、文楽に及んで僕の手は止まってしまった。くずした文字、おまけに鉛筆による手書きの生原稿をコピーしたものだったから、かすれて読めない。それが歌舞伎の演目や役者名だからまいった。知っていれば、多少かすれて読めなくてもわかるものだ。
 自慢じゃないが歌舞伎など、前進座の舞台を1、2度見たくらいしか覚えはないし、文楽に至っては皆目ない。役者で知っているといえば、まあ、片岡仁左衛門に松本孝四郎、中村吉右衛門、中村勘九郎といった、テレビにもよく登場して誰でも知っていそうな名前ばかり。演目といったってあーた、「勧進帳」とかそんなものしか知らない。
 とはいえ読めないのだから仕方がない、「■」でいこうと思ったのだが、どうやら役者名と演目で「■」だらけになりそうだ。ふむ、こいつぁあまずい。それに、くやしいではないか。

 というわけで、ホームページを当たってみることにした。YAHOOで「歌舞伎」を探る。いやいやけっこうページがあるものだ。いろいろたどって松竹に来た。大阪松竹座の案内ページに、おお! まさに原稿で話題になっていた片岡仁左衛門襲名披露のプログラムがあった。演目から配役までバッチリ記載されている。ラッキー! おかげで、全部ではないが、かなりの数の読めない文字を解読した。文楽もいろいろなページがあったが、残念ながらこちらは目あてのものにはたどり着かなかった。

 以前もテープリライトで沖縄の方言がわからず、インターネットで方言のページをあたったことがある。方言のページもまた各地にあるのだ。
 ほかにもときどきわからない箇所にぶちあたると、インターネットで探すということはあったが、今回ほどバッチリぶつかると実に気分がよい。ますますインターネットのお世話になるのが増えそうだ。

(記/1998.5.11)


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