[ひとりごと(1998.10.3)]

プリンタダウン事件の結末

 8月27日に書いた「プリンタダウン事件のその後」は、最後を「今回のタイトルは『その後』なのだ。まだ『結末』には至らない」と締めくくったが、はたしてその通りになってしまった。しかし今回は、ようやく「結末」と言えそうだ。

 基盤を交換してもなお、プリンタの不調は改善されなかった。それどころか、時としてプリンタが立ち上がらなくなったり、別の不調まで現れるようになった。サービスマンに連絡したら、すぐにやってきた。
「一度、ローカルトークにしてみましょう」
 僕は2台のMacをイーサトークで結んでいる。しかしプリンタはイーサトークに対応していないので、「Ether Wave」と呼ばれる変換器を介してプリンタのローカルトークコネクタに接続している。この関係はすでに2年以上になる。
 このイーサトークをやめ、プリンタへの接続を1台のMacから直接ローカルトークでつないで様子をみることになった。しかしそれでも、数日でやはり症状が出た。
「う〜ん、こうなるとあとはメモリかハードディスクくらいしか考えられませんね。とにかく基盤ではないようです」
 とサービスマン氏。この時点で基盤を元に戻した。おかげで10万円の出費はチャラになったが、プリンタも症状も振り出しに戻ってしまった。

「あとは、可能性をひとつずつつぶしていくしかないですね」
 プリンタには増設分も含めて28MBのメモリを積んでいるが、メーカー純正のメモリだと合わせて20数万円になるという。サードパーティー製のメモリなら安いが、原因がメモリと断定できないので、無駄になる可能性もあるとのこと。ハードディスクはそれに比べるとまだ安いので、まずはハードディスクの交換をしてみようということになった。
 しかしこれはちょっとかなわない。原因がハードディスクなら仕方がないところだが、ハードディスクを変えれば確実にフォントを更新しなければならない。この手間が面倒だ、なんとかならないか、というのが僕の本音ではあった。

 しかし原因がわからない以上そうも言っていられないので、とりあえずこのプリンタで紙出力して納品しなければならない仕事をだましだましでなんとか終え、新しいハードディスクを待っていた。そんな頃、一通のメールを受け取った。
「QMSプリンタの販売をしています。何か力になれるかもしれません」
 実はこの話題をWebページにアップしているので、ありがたいことにこれまで何人かの方からBBSなどで助言をいただいた。しかし、直接QMSを扱っているという方からのメールは初めてだった。

「ネットワークボードは試されましたか? QMSのネットークボードは壊れやすいですよ。ネットワークの線で考えてみればどうでしょう」
「いえ、ネットワークボードはついておりません。『Ether Wave』を使っています」
「まさか『Ether Wave』だったとは……。とりあえずローカルトークにしてみては」
「この前やってみたんですけど、同じでした」

 こんなやりとりを交わしたが、これを通して僕の意識はググッとネッワーク関係原因説に傾いた。というのも、この頃になると不調に慣れてきて、ずいぶん症状を冷静に見られるようになっていた。症状をあらためて振り返ると、こんな感じなのだ。
 まず、朝の起動から数時間はほとんど問題なく動いている。かなりの時間がたったり、プリントが重なってくると、まずバックグラウンドプリント時のMacの操作に負荷がかかり始める。「おっ、来たな」という感じだ。
 案の定、しばらくすると「エラーでプリントできませんでした」。そこで再起動する。運がよいとそれからしばらくはプリントできるが、やはりエラーになる。こうなってくると、もう再起動しても「プリンタが見つかりません」とけんもほろろになってくるという次第。そのくせ一晩くらいパワーオフにしておくと翌日はまたプリント可能で、同じことを繰り返すのだ。
 感覚的にはまさに「詰まっている」感じなのだ。デジタルデータのやりとりに「詰まる」ということがあるのかどうかはわからないが、それはまるで便秘、いや出口の詰まった水鉄砲そのものなのだ。

 そこで、エラーの真っ最中で再起動してもまったく回復しない状況の時、もしやと思ってローカルトークにつなぎ替えてみた。かつては同じ症状が出たものだが、切り換えのタイミングとしては初めての試みだ。ところが、
「あれま……」
 切り替えただけで、さっきまでどうしようもなかったものが正常にプリントするではないか。バックグラウンドプリント時も、ポインタがチラチラ動く感じはあるが、さほどではない。これはひょっとして……。
 もちろんこれまでの経験から、数日たってみないと何とも言えないし、実のところ僕の気持ちは複雑だった。というのも、以前はローカルトークでエラーが出たのだ。そのためにサービスマンにあれこれと悩ませてしまった。変なもので、心の底で「エラーよ、起これ」などと思っていたものだ。
 そんな時に限って、数日たっても何の問題も出ないのだからおかしなものだ。どうやら原因はネットワーク、それもたぶん「Ether Wave」の不具合という可能性が濃くなってきた。

 この間の出来事をサービスマンに連絡した。するとサービスマン氏、急に不機嫌になった。
「ネットワークについては私も最初から指摘していましたし、ローカルトークでも症状が出たのはお客様が確認されたじゃないですか。だからひとつひとつ可能性をつぶそうとしていたんです。私もQMSと連絡とりながらやっているんですよ!」
 ん? 彼はなぜ不機嫌になっているわけ???
 どうやら彼は、僕が彼のことを頼りないと思って別の人に相談したものと誤解したようだ。もちろんそんなことはないし、わがプリンタの状態については彼が最もよく承知している。だから僕には何の他意もなかったのだ。
 人間関係ってちょっとしたきっかけで変わるものなんだと思うと、なんだかおかしくなってきた。そんな話を知人にしたら「その光景、目に浮かぶ」と言ったものだ。よく考えたらこの知人とも、ひとことがケンカの種になったのだった。

 サービスマンとの関係がこれでこじれたわけでないのは言うまでもないが、以前なぜローカルトークで症状が出たのかという疑問が残った。考えられる可能性は二つあった。
 ひとつは、その時は基盤が違ったということ。しかしこれは可能性が低いかもしれない。
 もうひとつは、僕の勘違い。というのも、ローカルトークではケーブルの関係で1台のMacとしかつなげない。しかしもう1台のMacからプリントする必要があり、ときどきケーブルをつなぎ替えていた。ケーブルをつなぎ替えればApple Talkコントロールパネルで接続を切り替える必要もある。こうした中で混乱したのかもしれない。
 つまり、ローカルトークにつながっていると思っていたが実はイーサトークであるか、あるいはケーブルはローカルトークだがコントロールパネルがイーサトークになっていて、それでエラーになったという可能性は否めないのだ。

 さて、1週間たってもローカルトークで問題は出なかった。もう原因は「Ether Wave」に決まりだ。
 原因が「Ether Wave」で、これの交換ということになると、もうサービスの修理という仕事ではないそうで、管轄は営業に移るという。
 そして先日、新しい「Ether Wave」がやってきた。ついでにケーブルも交換した。現在、どうやら問題なく動いている。一度、プリント中に警告音が鳴ってビックリしたが、別のエラーでプリントとは関係なかった。たぶんこのまま完全復活だろうと思われる。
 結局、この間のプリンタ不調に関してかかった費用は「Ether Wave」代のみ、税込64,260円也。一時は10数万の出費を覚悟したのだから、安く上がった。

 ところでこの「Ether Wave」、iMacの登場で注目されているらしい。というのも、iMacにはイーサトーク用のポートはあっても従来と同じプリンタポートはない。「Ether Wave」を使えば、イーサトークからローカルトークプリンタにつなげるから、iMacには都合がよいのだそうだ。

 なおこの場を借りて、いろいろと助言をいただいたすべての皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

(記/1998.10.3)


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