京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男
以前、松本酒造に横文字の銘柄のお酒ができたらしいという話を耳にして、気になっていた。蔵のサイトを見ると、それが「RISSIMO」だった。なんでも、イタリアンレストランのシェフと共同開発した、イタリア料理に負けない酸味をもつお酒なんだという。
確かに、たとえばパスタを食べながら日本酒を飲んだことは、考えたことも実際にも、たぶんないと思う。どんなお酒だろうと思って、蔵元のオンラインショップで買い求めてみた。
このお酒はたぶん飲む機会がないのではないかと半ばあきらめていた。1年近く前に「日出盛」を飲んだ際に見つけていたが、諸般の事情でなかなかお酒が飲めなかった。限定5000本だから、そのうちに売れ切れてしまうだろうと思って、その後も対象から外していたのだ。
この銘柄「日出盛」には、僕にとっていささかのいわくがある。
1年余り前、「桃の滴」で知られるこの蔵を見学する機会があった。看板銘柄は「日出盛」だから、ぜひそれを飲みたいと思っていた。ところが話を聞くと、純米酒としての銘柄が「桃の滴」で、「日出盛」はそれ以前の銘柄なのだという。なのでその時「日出盛」は後回しにしてしまった。
その純米大吟醸が油長さんのネット販売の「期間限定」品に出ていたので、買い求めた。だからようやく口にする「日出盛」なのだ。
先日もまた油長さんの企画で酒蔵見学があり、松本酒造に行ってきた。なので今回は、「日出盛」の純米大吟醸を飲んでみようと思っていた。それが看板銘柄だと思っていたのと、以前にこのコーナーでも「桃の滴」純米吟醸しぼりたてを飲んでいたからだ。
ずいぶん前、飲み屋で飲んでいた酒が美味しかったので、小瓶を数本わけてもらって訪ねる家への土産にした記憶がある。それが「桃の滴」だった。ここ数日、純米吟醸酒が飲みたいと思っていたところ、その「しぼりたて」が目にとまったので買ってみた。